東京慈恵医科大学 DNA研究所 INSTITUTE OF DNA MEDICINE
東京慈恵医科大学 DNA研究所 イメージ
TOP
研究者一覧
研究支援
研究機器
リンク









研究部門▲
研究部門
■悪性腫瘍治療研究部門

悪性神経膠腫に対する新たな免疫療法の開発

  わが国の死亡原因の3分の1はいまだ有効な治療のないがんや肉腫といった悪性腫瘍が占めています。 現在、悪性腫瘍に対する治療として 外科的切除・化学療法・放射線療法などが用いられていますが、私たちは新たに腫瘍免疫療法に注目し臨床応用を目指して研究を行っています。また、化学療法・放射線療法の結果を左右する腫瘍細胞生物学の研究や、がんの早期発見と治療の目安になる腫瘍マーカーの検索を行っています。

主な研究テーマ

  1. 腫瘍免疫、癌免疫療法に関する基礎研究・臨床研究
  2. 悪性神経膠腫に対して新たな免疫療法を開発
  3. 腫瘍細胞の接着から起こる変化と薬剤耐性の関連
  4. 新しい血清腫瘍マーカーの探索
  5. 自己免疫性肝炎の発生と伸展のメカニズムの研究

各研究テーマの詳細

腫瘍免疫、癌免疫療法に関する基礎研究・臨床研究を行っています

体に備わった自分の免疫力で癌を退治することは人類の長年の夢です。従来までの癌免疫療法は過剰な期待とその後の失望の歴史を繰り返してきましたが、世界中の多くの先端研究機関が精力的に癌免疫療法の研究を行い、世界の Top journal に腫瘍免疫の論文が絶えないのは、未だにこの分野の期待が高いことを物語っています。私たちは免疫細胞の中心的な役割を果たしている樹状細胞という細胞に注目して腫瘍免疫、癌免疫療法に関する研究を行ってきました。樹状細胞とは T リンパ球に対して攻撃目標(抗原)を示し、教え込む生体の免疫機構の中心的な役割を果たす細胞です。この細胞が癌細胞の目印(癌抗原、または腫瘍抗原)を T リンパ球に提示すれば、体内の免疫は癌細胞を排除する方向に活性化させることが期待されます。その目標を達成するためには、未だに多くの解決すべき問題が残されていますが、研究の推進により着実な進歩が得られてきています。これまでの私たちの研究では、自分自身の腫瘍細胞を自分の樹状細胞に融合させるように取り込ませて、この樹状細胞を悪性腫瘍の患者様に投与すると確実な治療効果を示す症例があることを示してきました。その後の研究の進歩により、自分の腫瘍細胞が得られないような患者様でも同じ種類の腫瘍細胞と樹状細胞を用いて治療できる可能性が広がってきたこと、従来は免疫療法とは相性が悪いと言われていた癌化学療法の一部が免疫療法ととても相性が良く、互いの治療効果を高めあう可能性があることも明らかになってきました。また、腫瘍を増殖させるために必須の腫瘍血管が免疫療法の良い標的となることがわかり、腫瘍血管を傷害する免疫療法の研究も進めています。近年、京都大学の山中伸弥教授により開発された iPS 細胞は将来の再生医療の担い手として注目されています。私たちはこの iPS 細胞を癌細胞を殺してくれる T リンパ球を生み出す樹状細胞に分化させ、将来の癌免疫療法に役立てる研究を進めています。この分野の研究の進歩により、近い将来より有効で安全性の高い癌免疫療法が提供できることと思います。また、近年癌細胞の免疫の標的である腫瘍抗原も数多く発見され、その抗原ペプチドはペプチドワクチンとして癌免疫療法に用いられてきました。 WT1 という腫瘍抗原のペプチドワクチンもそのひとつとして期待されています。私たちは大阪大学の杉山治夫教授との共同研究で難治性の膵臓癌に対し塩酸ゲムシタビンという標準化学療法と WT1 ペプチドワクチンの併用療法の第1相臨床試験を行っています。 (担当 本間 定、伊藤正紀、小井戸薫雄)

悪性神経膠腫に対する新たな免疫療法を開発しています

悪性神経膠腫は大人にできる原発性悪性脳腫瘍のなかで最も頻度が高くかつ悪性であり、手術、放射線療法、抗癌剤による化学療法を行っても治癒させることはできません。治療成績も改善されておらず、極めて悪性の腫瘍のひとつと言えます。我々はこの悪性神経膠腫に対する第4の治療として、免疫療法の開発ならびに臨床応用を行っています。?
腫瘍細胞の持つ抗原性は人によって非常に多様です。ひとつは主要組織適合抗原という、個々の人のもつ遺伝的素因により決定されます。また、腫瘍抗原も複数であり、さらに遺伝子の変異によるその人だけの固有の腫瘍抗原もあります。このようなひとりひとりの患者さんによって異なる種々の腫瘍抗原に対して、特異的にリンパ球が認識し攻撃できるようにするために、我々は樹状細胞と腫瘍細胞の細胞融合法を用いた腫瘍免疫療法を考案しました。
患者さんの血液から樹状細胞になる前身の細胞をとりだして培養し、サイトカインで成熟した樹状細胞に育てます。手術や検査で採取した腫瘍組織から、腫瘍細胞をとりだし、特殊な方法で樹状細胞と融合させます。この融合細胞は腫瘍抗原を産生すると同時に、その抗原をリンパ球に伝えることができます。この細胞を患者さんの体内に戻すことにより、この抗原を認識しこの抗原をもつ腫瘍細胞を攻撃するようなリンパ球が生まれます。その結果、からだの中に腫瘍細胞だけを特異的に攻撃するような腫瘍特異的細胞障害性リンパ球が誘導・増強され、腫瘍に対する治療効果を発揮することが期待されるのです。なお、実験動物を使った基礎実験では、この治療法によって有害な反応がでたり副作用と考えられる影響がみられたりということは全くありませんでした。 (担当 赤崎安晴、菊池哲郎)

▲

腫瘍細胞の接着から起こる変化と薬剤耐性の関連を調べています

通常、白血病やリンパ腫という血液のがんは化学療法薬で死滅しやすい特徴があります。けれども始めから薬が効かない あるいは治療の過程で効果が見られなくなってしまう場合もあります。このような薬剤耐性には複数の理由が考えられますが、その一つに細胞の接着からおこる変化があげられます。私たちは 同じ起源でありながら接着をおこす白血病細胞とおこさない細胞を利用して抗腫瘍薬が作用できないメカニズムを探り、これを克服する方法を探しています。このような研究を通してがんのテーラーメイド医療を目標にしています。(担当 山田順子)

新しい腫瘍マーカーを探索しています

がんになっているか血液検査で分かれば早期に発見できます。臨床ですでに多くの腫瘍マーカーが利用されていますが、どれも完璧ではありません。また、実際の治療に際して治療効果を反映する目安が必要ですが、これが見当たらない場合もあります。そこで、私たちは 病気の人で特異的に出現してくるタンパク質や治療により変化するタンパク質を見つけ出し、これを診断や治療に役立てる研究を行っています。(担当 鎌田裕子)

自己免疫性肝炎の発生と進展のメカニズムを研究しています

私たちはマウスを用いて樹状細胞により肝癌の治療を行う基礎研究を行っている途中、偶然肝臓に炎症がおこることを見つけました。これは樹状細胞により肝癌細胞と正常肝細胞の両方を攻撃し得る T リンパ球が生み出されたためです。肝炎は一時的で重症化しませんが、ヒトの自己免疫性肝炎の研究には良い研究モデルです。この肝炎モデルマウスを用いて、どのような免疫細胞がどのような抗原を標的にして自己免疫性肝炎が起こるのかの研究が進められています。また、肝炎の進展を促進したり抑制したりする生体の機構も明らかにされつつあります。 (担当 銭谷幹男、本間 定)

主なテーマ

腫瘍免疫療法

腫瘍細胞生物学的研究

腫瘍マーカー



▲
遺伝子治療研究部
■悪性腫瘍治療研究部
分子細胞生物研究部
分子遺伝学研究部
分子免疫学研究部
プロジェクト研究部腎臓再生研究室
臨床情報部

  2008© INSTITUTE OF DNA MEDICINE